「きんとうか」愁ルートを終えた

颯太がレバーが苦手な理由が判明した。

犬小屋、泥棒ごっこ、ホラー映画…今のところ誰も幸せな過去を過ごしてないぞこのゲーム。さすが。

愁ルートのテーマは孤独、別れ、死んだ者に残された人、とか。
「孤独中毒」「人を欲しがる乞食」あたりの言葉が印象に残る。

愁さんはストレートにBLにおけるメガネお兄さんのキャラで、(宗定さんもストレートなBLにおける朴念仁攻めキャラだけど)付き合う前から駆け引きのようにキスしてきたりとか、そんでもって舌からタバコの匂いがしたりとか、それまで山奥に生息するゴリラと初めて火打ち石を打つ共同作業のような恋愛をしていたので、やだ、オシャレ~~~~~!!って高低差にまず衝撃を受けた。
私はどちらかと言うと攻めは炙ったゴリラがいい派の腐女子なので、喋るのが面倒になると口を塞ぐためにキスをしてくるようなメガネ攻めは受けちゃんの相手に認めませんよ、プンプン、という感じで進めてたけど、途中であーこの人(愁さん)もバブちゃんのまま時が止まってるところがある攻めちゃんなんやな…と思って許しの心になった。

宗定ルートで気になってた「血を流す女の幽霊」とそれにじゃれつく「大きな灰色で片目に傷がある猫の幽霊」は愁ルートで正体が明かされて、浅倉の母(逢巳先々代の愛人、離れで亡くなった)とその飼い猫(寅吉)だった。浅倉には亡くなった寅吉の姿が見える?声が聞こえる?ようで、彼が島の猫達に愛されているのもこのため。
浅倉の母は当時化け猫遊女とか言われていたらしく、中盤で颯太が浅倉母とチャネリングしてしまったのかやたら浅倉にベタベタしだした際に、ヤレヤレ遊女属性までゲットしてしまうのか…と最強受けたゃの階段を登っていく颯太をいっそ頼もしく思ったりしました。

双子幼女コンビに「逢巳のご当主様に新鉢破り(処女を抱く儀式)されないように気をつけるんだよ」と言われる成人男性 鈴村颯太…
・颯太のばあちゃん、花さんは逢巳の先々代に横恋慕されて新鉢破りをされたらしい
・花さんに恋をしたが叶わなかったことで、鬼のようになっていく逢巳先々代
・夏子「せめて、愛人なんか外に作ればいいのに、家に連れ帰って住まわせたりして……」
 夏子「女にとっては地獄よ。本妻が愛人と同じ家の中にいるんだもの。私なら両方絞め殺してるわ」
これはさあ…そのまんま宗定ルートの愛人エンドじゃないか…(愛人エンドの夏子さん颯太にマジギレしてたもんね)きっと先々代も宗定さんみたいに不器用で優しくてまじめな人だったんだろうなあ…悲恋でおかしくなって…という歴史と業は繰り返す展開にゾクゾクした。

宗定さんと颯太がまぐわってるとこ見るの大好きなオバケは浅倉さんの母だったのか…自分と同じ境遇だからね…

さゆり「ねえ、颯太さん……ほしい、ほしい、って叫んでると、誰かが来ちゃうよ」
ゆかり「颯太さんのちぎれたところに、誘われて来ちゃうんだよ」
司を失った魂のことを言ってるんだけどなんか男を惹き寄せる甘い汁でも出てそう。

「1人目は人生を破滅させて、2人目は地獄に落とした、3人目とは心中でもするか。」
愁さんにかつていた友達の話。
1人目は柏木・でも本当はお互いを愛していたよ、最後の朱野のきんとうか畑で出会える人。
2人目は司・亡くなった司を求めて逆おくりをしてしまった。多分宗定と一緒に。(共通ルートの最後の方のアレかな?とするとその辺の描写が曖昧だった颯太ももしかしてなんかされてる?)
3人目は、2つあるバッドエンドのどちらもで颯太が先に命を落としてしまうので、後を追って心中しようとするところと、ふたたび逆おくりをしようと死体を抱えて朱野で横たわる姿が見られる…本当にバッドエンドが美しい…

颯太の孤独がクローズアップされてたけど、そこに目が行くということは同時に愁さんも同じように孤独を恐れ、別れに怯え、後悔で1人きりになっていて二人は鏡のようだなあと思った。ダブル受けの百合カップル。
最初の方で、お互いが気になる相手にかける口説き文句を教えあう場面があって、
愁さんが「あなたのことが知りたい」、颯太は「嫌なことはしないから」「そばにいてほしい」
これを、終盤に颯太が愁さんに「あなたのことが知りたい」愁さんが「嫌なことはしない。そばにいてほしい」って返す流れが見事すぎて素晴らしすぎてちょっと膝を打ちました。
相手の言葉を返し合ってるだけじゃなくて、颯太の「知りたい」という問いかけに対して「そばにいてほしい」って本心を返してるんですよね!ダブルミーニングでね!二人は孤独な孤独中毒者だからいけないと思いつつも同じ願いを抱かずにはいられないという鏡合わせ仕様が素晴らしかった。

バッドエンドへの分岐で、恭に頼んで愁さんの写真をもらうか否かという選択肢があって、写真を貰わないことでグッドエンドに到達できる。エンディングに入ってから別れを惜しむ颯太に愁さんが「自分の持つ孤独とちゃんと付き合っていこう」と諭す場面があり、写真を見て寂しさを紛らわすより、次に再開できる未来に思いを馳せることを愁さんは望んでいるのかな、と思った。

宗定さんルートだと終盤おもに腕力で敵わず囲われ囚われの姫感がすごかったけど、愁さんはわりと脇が甘いので颯太が自分で考えて動けたり、宗定さんから見た颯太は天使化が激しく「オマエ…オレノ…ヒカリ…」って感じだったけど、愁さんから見た颯太は地に足がついてるからこそ大切に思っている人間みたいな…なんだろう…愁さんもだいぶ過保護だけど…そういう違いもありつつ、やはり島の二大当主なので凸凹のように要素が逆だったり、明かされる謎も入れ子になってたりと噛みごたえがあって面白かった。
宗定ルートより死んでる人の姿がよく見えた気がする。
最後に朱野のきんとうか畑で1番心残りのある亡き人と再会する、というのは誰のルートでも同じ展開なのかも。恭にとってその相手は誰なんだろう。

必然的にご兄弟なので恭の出番が多く、もう本当に恭は可愛いな~~~~~可愛いな~~~~~お兄ちゃん思い出優しくて人が傷つけられると誰よりも先にカッカしてワンワン泣いてなんていい子なんだ恭は~~~~~と思う場面が多すぎて恭ルートが楽しみで楽しみでヤバイのでこの辺で感想を終える。